甲府盆地東部に位置する日当たりのよい斜面、水はけのよい土壌を有し、葡萄栽培に適した土地として知られる山梨県甲州市奥野田地区。
古くから地元の農家が集まって共同でワイン造りを行っていた奥野田葡萄酒醸造を現社長、中村雅量さんが引き継ぐ形で1989年(平成元年)に誕生。
自社畑1.5haの他に契約農家から葡萄を購入して年間約4万本のワインを手掛ける小さな家族経営ワイナリー。
創業から35年の確かな経験値から造られるワインには安定感あり、小さいからこそ出来る細部にまでこだわった丁寧な造りを実践している。
中村さんは山梨県出身で東京農大を卒業後に中央葡萄酒(グレイスワイン)に入社。
奥野田葡萄酒醸造を営む農家より継承オファーを引き受け独立した1989年当時は若干26歳であった。
地元の甲州やマスカットベーリーAによるワインの傍ら、世界に通じるワインを造るという想いを当初から持ち、シャルドネやカベルネ、メルロなどの欧州品種を植樹する。
自社畑葡萄の樹齢も高まり一層味わい深さを増しており、塩山のテロワールの特徴は「ミンティ、熟成するとジャスミンのような風味が現れる」と語り、その通り赤も白も味わいに涼を感じさせる。
外出制限のあったコロナ禍中には醸造所を一新。
日本に一台のみという最新式のイタリア製の吸引型プレス機を導入した事により葡萄の酸化を抑えて優しく果汁を圧搾することが可能になり、特に白ワインの品質がより向上し、アロマとピュアな果実味が際立つように改良。
ワインの味わいをイメージしているという華やかで繊細なタッチのラベル画を描く奥様の亜貴子さんと共に葡萄と土地、風土のポテンシャルを最大限に活かしたワイン造りに余念がない。